旭川の住宅会社・アーケン株式会社は「建築」「住宅会社」の目線や立場ではなく、顧客のライフスタイルを第1に、趣味、仕事、食、子育てなどを深く理解することを大切にしています。
今回から連載で、アーケンが家づくりに限らず、さまざまな形でご縁をいただいた、旭川圏で素晴らしい活動をされている方々をご紹介していきます。第1回は横倉利明さんです。
ビンテージの看板がなじみ、ブルースが耳を癒し、軽くラテン気分に浸れるような店構え。雑貨屋さんと間違える人がいるのも納得の、わんちゃん向けに見えない特別なペットショップが、北海道旭川市にあります。道内外の愛犬家から絶大な支持を得る「DENI'S STORE（デニーズ・ストア）」です。
店主の横倉利明さんは2001年に小さな店舗から始め、取り扱うオーガニックのドッグフードの売り上げは今や日本トップクラス。カットは数か月待ちです。仕事が充実する一方で、以前住んでいた自宅は老朽化して維持が負担になり、10年来の常連であるアーケン・太田貴洋に相談をいただきました。アウトドアや、時を重ねたモノを愛する横倉さんは、太田に対し趣味や仕事へのこだわりに同じものを感じていました。横倉さんに伴走し、新たな住まいを設計した太田が、横倉さんの仕事、そして暮らしをお聞きしました。
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太田「DENIを始めたきっかけは何ですか？」
右が横倉さん、左は当社アーケンの設計太田です。
横倉「もともとコンピューター関連会社のSEでした。精神的な負担が大きく、仕事に違和感を抱えていました。犬の横でデスクワークをするような温かい光景に憧れ、ずっと犬と一緒にいたいなと思っていました。小さいころからペットに囲まれていましたし、家具店を営んでいた両親の背中を見て商いの空気は好きでした。いつか店をやりたいと考えていました」
太田「20周年を迎えましたが、最初のころはどんなスタイルでしたか？」
横倉「ペットブームが来る前の2001年、自宅の敷地内に、工事現場にあるようなプレハブを置いて店を始めました。こだわりのドッグフードを売りつつ、シャンプーサービスを始めました。本当に犬が好きな人に喜んでもらい、フード販売も好調で、手応えを感じました」
太田「僕の中でDENIさんは、ずっと気になっていたお店で、10年以上前からドッグフードを買っています。うちの犬はそんなに体が強くなくて、下痢や嘔吐をすることもありましたが、DENIのドッグフードに変えてからは、なくなりました」
横倉「日本は、犬に関しては後進国。犬や猫の餌は家畜と同じ扱いで、保存料が入っていても販売できます。店で扱っているのはアメリカのオーガニックのドッグフードで、安全性が高く、とても厳しい基準をクリアした安心できるもの。現地の情報に精通した、こだわりと思いのある仲間を通じて輸入しています。このフードに替えると、毛の艶が良くなり、病気もしにくくなります。そういうものを日本に広げるのが僕たちの仕事。会社の所在地は旭川ですが、全国から『DENIから買いたい』と注文があり、東京などにも発送しています」
太田「こだわりはフードだけではないですよね。生体は販売していません」
横倉「都会は特にですが、ペットを衝動買いして、飼えなくなって投げる（捨てる）ケースは多くあります。結果として殺処分につながったり、劣悪な環境に置かれたりします。粗悪な業者による、大量繁殖の問題もあります。本当に欲しいとなれば、ブリーダーを探して出向き、その方の人柄を見て、分けてもらう方法があります。この20年、アフターケアのプロショップに徹しています」
太田「愛犬家からの信頼は絶大です。幅広いサービスも魅力ですね」
横倉「トリミングは、人間の美容室と同じように一流のシャンプーを使います。心の底から犬が好きで付き合い方を心得たスタッフの、高い技術もあります。トイプードルのカットだと６ヵ月待ち（2021年4月時点）。店は年中無休で、併設するペットホテルは飼い主に急な不幸があっても対応します。年間2000頭を預かっています。
「ボランティアでしつけもやっていて、お客さまの家にも行きます。噛まれることもありますが、ご家族とワンちゃんのために犬と人間の関係が改善できるように、真剣に向かいあいます」
太田「新築したご自宅に『森』があって、わんちゃんが楽しそうにしています」
横倉「カラマツやエゾマツを植え、山石を置いています。お客さんから預かった犬をゆっくり休ませたり、運動させたり。日陰で寝っ転がっている写真を送ると、喜んでもらえますね」
太田「ここはドッグランではなく、ドッグパークという位置づけですね」
横倉「海外では、犬をめいっぱい走らせた後、ドッグパークで落ち着かせて他の犬との時間を楽しみます。犬は走らせてなんぼです。日本でよくあるのは、車で興奮したままドッグランに連れていって、他の犬とケンカになることです。トラブルの原因のほとんどは散歩不足です」
太田「ペットと一緒に暮らしたくて家を建てるケースは多いです。」
横倉「基本的に、そもそも家は『人』がゆっくりする場所です。犬も"1人"が好きで、本当は犬小屋で暮らしたい。その距離感を間違えるからストレスが高まって、噛まれたりする。人間関係、恋愛も、ある程度の距離感がないとうまくいきませんよね。5万円も出してしつけ教室に行かせても、1ヵ月すれば元通りになることもあります。それは飼い主の愛犬に接する方法に課題があるからです。犬を飼うというのは大変なことです。『犬は家族』と簡単に言いますが、本来は別の生き物です。それが一緒に暮らすためにどうしたらいいか。良い付き合いをするお手伝いをしています」
『DENI'S STORE』
〒078-8234
北海道旭川市豊岡４条４丁目１番３号
営業時間:8:00～19:00
定休日:年中無休
電話(0120)115-509
公式サイト http://www.denis-store.com/
「今回、アーケンさんに家を建てていただき、家族が癒される快適な住まいになりました。太田さんや大工さんたちとのたくさんの打合せを経てマイホームに対しての愛着をしみじみ感じています」
記事：松本 浩司 写真：村川翔健